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リーダーとして結果が出せない時、あなたも使えるシンプルな改善法とは?

2019年1月3日2:44 PM

今回は、「リーダーシップのとり方は、ある視点を使うことで大幅に改善できる」
というお話しです。

「目標未達成への不安、部下が動かないことへの苛立ち」トップゆえの悩みですね。
その時、あなたはどう乗り越えていますか?

多くの人は、「売り方の追及」に走ります。

たとえば、
・このままでは目標を達成できない。だから他社の成功例を取り入れてみよう。
・部下の動きが鈍い。販売ミーティングの回数を増やして危機感を強めよう。
・訪問回数をもっと増やそう。
・ロールプレイングで接客レベルを上げていこう。            等々。

しかし、結果は上向きません。

なぜでしょうか?

売り方が悪い。部下の能力の問題。
いずれも違います。

答えは、リーダーの意識が他人に向いているからです。

焦れば焦るほどバイアス(偏った思い込み)にはまっていきます。
ここは一転、自分自身に目を向けることが大切です。

なぜなら、リーダーシップとは部下に影響を与える力ですから、結果が出ない原因
はあなたが部下に悪い影響を与えているのです。

自分自身に目を向ける。

これが改善への前提になります。相手に目を向けるか、自分に目を向けるか、方向
を確認することがとても重要です。

というのは、私が数多く見てきた中で、成果を出すリーダーに共通しているのは、
「まず自分自身の采配ややり方に問題はないか」というところから考えをスタート
させているからです。

一方管理職とリーダーの打ち合わせで「〇〇君がもうちょっとしっかりしてくれれ
ば・・・・」などと言い訳を言うリーダーに予算目標を達成できた例はないと言っ
ても過言ではありません。

結果が出せない時は、まず、「自分自身に目を向ける」。

このことを強く意識しましょう。

 

「資質」より「行動」を重視しよう。

リーダーシップという言葉から、すぐ頭に浮かぶのは「決断力」とか「統率力」ま
た「カリスマ性」などの資質面ではないでしょうか。

戦国武将や伝説の名経営者から理想像をイメージすることが多いと思います。

これはこれで、心構えをしっかりさせるために必要と思います。しかし、実際にど
うすればいいの?

どう動けばよいのか迷いますよね。

壁にぶつかった時、行動がはっきりと示されれば迷うことなく取り組めます。
資質より行動を重視しましょう。

では、どんな行動が必要なのでしょうか?

リーダーシップ理論の研究をみると方向がはっきりします。

リーダーシップは行動の面から多くの研究が発表されてきました。オハイオ州立大
学、PM理論、ミシガン大学、マネジリアル・グリッド、グループ・ダイナミック
スなどが代表的です。

これら研究の大部分が「仕事中心の行動」と「人間関係中心の行動」、この2つの
行動で効果が上下することを証明しています。

仕事中心とは、目標達成や業績に関係することです。

人間関係中心とは、従業員のやる気やストレスケア、チームワークに働きかけるこ
とです。

つまり、この2つの行動をどれだけ行っているか、自問自答することで具体的な改
善点が見えてくるのです。

これが、最初のステップです。

リーダーシップ像をイメージするところから、行動へ視点を移す。ここを押さえて
ください。

 

自身の行動バランスを把握しよう

リーダーシップの行動に視点を移した後、すべきことは何か?
それは、2つの行動のバランスを把握することです。

バランス。そこにあなたの改善点があるはずです。

たとえば、PM理論(三隅二不二の提唱する理論)では、P行動(目標達成)とM行
動(集団維持)のバランスで理想的なリーダーの行動を明らかにしています。

PM型・・・P行動とM行動の両方が高く発揮されているスタイル。
(仕事への指示・命令が積極的に行なわれ、人間関係への配慮も怠らな
い理想的な状況)

P 型・・・P行動が非常に強いスタイル。
(仕事の指示・命令に偏っており、部下を疲弊させモチベーションが下
がっていく状況)
(一時的に成果が上がっても、やがて急降下していく)

M 型・・・M行動が非常に強いスタイル。
(人間関係への配慮に偏っており、目標や課題達成に対しての影響力が
弱く成果が出ない状況)

pm型・・・P行動・M行動の両方が著しく低いスタイル。
(仕事も人間関係も放任された最も悪い状況)

以上、4つの類型です。

今、あなたの状況は必ずどれかに当てはまるはずです。

どの類型に当てはまるかを判断してください。

類型がわかると、強める行動・弱める行動を操作してバランスを修正できます。これ
が改善につながっていきます。

これから説明するやり方は、とてもシンプルです。しかし、効果は確認済みです。

多くのコンサル会社が提供する複雑な自己分析表は一切必要ありません。

というのも、実は私のコンサルだけでなく、私自身が試して成果を得た方法だからで
す。

最初に行ってほしいのは、「結果が出ない低迷期間のリーダー行動を振り返る」こと
です。

どのように振り返るか。それは、俯瞰して見ることです。
第三者の立場から、自分の行動を評価してみる作業です。

「あのリーダー(自分自身)は、部下に数字のことばかり問い詰めてプレッシャーばか
りかけている」・・・これはP行動が強すぎる。

「あのリーダー(自分自身)は、部下との雑談で盛り上がり職場は和気あいあいとして
いるが仕事のことはほとんど話題にならない」・・・M行動が強くP行動が弱い。

このように、どちらが強いか弱いかバランスをつかみます。ザックリと傾向を知る感覚
で行ってください。

細かいところまで正確に、緻密にと考えると整理がつかず頓挫してしまうので注意して
ください。

ただし、考えてもうまく浮かんでこないケースもあります。

そんな時ひとつの目安があると便利です。以下を参考にしてみてください。
(出所:三隅二不二著「リーダーシップ行動の科学」をもとに作成)

P行動に入るもの・・・1.部下に対して、「規則を守ること」への注意。

           2.部下に対して、「仕事の指示・命令」。

           3.部下に対して、「仕事を完了させる時間」についての要求。

           4.部下に対して、「仕事ぶりのまずさ」を指摘、注意。

           5.部下に対して、「仕事の進み具合の報告」を求める。

           6.部下・組織に対して、「目標達成への計画」の綿密さがあ
             るかどうか。

M行動に入るもの・・・1.部下に対して、「仕事のことで気軽に話し合う」こと。

           2.部下に対して、「個人的な問題への気配り」。

           3.部下に対して、「仕事上の良い点を認めてあげる」こと。

           4.部下に対して、「支える姿勢」を示すこと。

           5.部下に対して、「えこひいきなく公平に扱う」こと。

           6.部下に対して、「昇進や昇給など将来への気配り」をする。

 

バランス状況に応じた改善法を実践しよう

さて、ここまでの作業であなたのリーダー行動のバランスを把握できましたか?

ここからは、いよいよ改善法です。

先にご紹介したP行動とM行動の4つの類型をもとに進めます。

あなたのバランス結果に応じて実践してください。

*P型の場合
M行動を強めるか、P行動を弱めるか、どちらも試してみてください。そして効果が
あった方を続けてください。

*M型の場合
P行動を強めるか、M行動を弱める。これも同様に試して効果ある方を続けてくださ
い。

*pm型の場合
厳しい言い方になりますが、一から出直しです。仕事中心にやるべきこと、人間関係
中心にやるべきことを確認し、今からコツコツ実行していきましょう。

問題は、PM型の場合です。
PとMが双方とも強くバランスがとれていると自己判断しました。しかし結果が出てい
ません。これは納得できない状況だと思います。

まず行なってほしいことは、自己判断に甘さがないか再考してみることです。一度白紙
に戻し、ひとつひとつ俯瞰してください。

それでも判断が変わらない時は、次の方法を試してみてください。

 

PM型なのに結果がでていない場合の対処法

それは、プロセスに焦点をあてたアクションです。

PM型なのに結果がでていないのは、PM行動が定型的になっていることが原因として
考えられます。

一言でいえば、定型的とは「まんべんなく」PとMを行なうこと。
一方、プロセスとは「絞り込み」でPとM行なうこと。

たとえば、粗利益目標が前年比115%とします。

リーダーのあなたは、部下の日常業務の強化を徹底していきます。

営業に関すること、企画に関すること、事務処理に関すること、残業時間に関すること、
販売会議に関すること、個別のコミュニケーションなど、すべてにまんべんなく力を入
れていきます。

これが定型的なP行動・M行動のパターンです。今までやっていることを強化しようと
いう発想です。

一方、プロセスに焦点をあてたアクションはこうなります。

リーダーのあなたは、この線をたどれば目標達成できるという道筋をつくり実行します。
「粗利益目標前年比115%」。これには売上・粗利益・経費という3つの面から施策
を練ることになります。

どこに重点を置くかは、それぞれの状況によって変わります。

例として、粗利益を重点としましょう。

まず、粗利益率の高い商品をピックアップして拡販の可能性を探ります。

次に、スタッフとの話し合いにより拡販の具体策を決めていきます。

そして、体制づくりです。人員配置や役割分担など。

実行段階では、定期的に進捗を確認します。(数字と行動の両面からスタッフと確認)

成果と対比して、改善を繰り返していく。

この一連の活動が、プロセスのアクションです。

目標達成への道筋に沿って、要所を押さえていくという発想です。

定型的なP行動・M行動とは違い、やるべきことが絞り込まれていることがわかると思い
ます。

 

では、絞り込まれたP行動とM行動とは何でしょうか? 整理してみます。

まず、P行動についてです。

・目標達成への計画を綿密にしていくこと。

「粗利を115%へ!」と号令をかけ続けてもそれは単にゴールを示しているだけ
です。そこに向かって何をどうしていくかをはっきりさせスタッフと共有するリー
ダー行動が求められます。

数字で埋め尽くされた計画書よりも、行動を組み立てた計画書が計画を綿密にする
ということです。

・各プロセスの進捗管理を行なうこと。

やりっぱなしを防ぐために進捗管理が必要です。進捗管理は、うまく進んでいない
ところを責めることではありません。

うまく進んでいないところの改善策をつくり実行を繰り返すことです。

次にM行動についてです。

・各プロセスの進捗管理を行なうこと。(コミュニケーション視点)

前段のP行動と同じ文章ですが、ここでは部下とのコミュニケーションを重視しま
す。これによりP行動をM行動に変換できます。

「計画~実行~改善~結果の振り返り」この各段階でスタッフの意見を取り入れてい
くこと。同様に、スタッフの努力を認めてあげること。そして指示・指導を行なうこ
と。以上の3点を部下とのコミュニケーションの視点にしてください。

以上が、リーダーとして結果が出せない時の改善法です。

ぜひ実行に移して、効果を実感してください。

リーダーの方々へ、さらにはリーダーを指導する統括管理者の方へ、ご参考になれば
幸いです。

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