荒木コンサルティング・オフィス 荒木俊弘のブログ

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人事考課を入れる前におさえること。それは、社員の参加意識・構成のシンプル化・面談手法の準備、この3点です。

2017年11月21日1:59 PM

社員の育成につながる人事考課制度を導入したい。

ただ中小規模の会社にとって、最初にぶつかる壁は「うまくやりこなせるだろうか?」
というモヤモヤとした不安です。

大手企業と違い「限られた人材」でやりくりしていかねばならないプレッシャーや
「社員教育の体制はどうか?」という社内環境が要因として挙げられます。

そこで今回は、私の経験から導入前に考えておきたいこと、おさえておきたいポイ
ントを3つご紹介します。

専門家に指導をお願いする場合も、ご自身で制度を考える場合にも役立つと思いま
す。どうぞご参考にしてください。

社員の参加意識を高める

一つ目のポイントは、「社員の参加意識を高める」ことです。具体的には評価シート
づくりに社員が参加します。

なぜ社員が評価シートをつくるのか?
評価すべき社員の努力は、数字に結びつくプロセス行動にあります。その中で何が重
要か、その答えは現場を熟知した社員の意見の中にあります。

社員の意見を取りまとめ評価シートをつくりあげます。
もちろん評価シートを完成させるのは経営幹部ですがこの準備活動が社員の参加意識
を高めるキーポイントになります。

さて、進め方ですが、ミーティング形式で繰り返し行うことをお勧めします。仰々し
い会議を設定すると、意見が出ない、本音が出ないという状況に陥りますのでざっく
ばらんに話し合うという場づくりが必要です。

経験上、社員の意見の2割はご都合的な意見が出てきますので、それは横に置いて、
残り8割を採用していく感覚で進めます。

その際、ミーテイングのナビゲート役が必要になります。専門家と進めるのであれば
専門家には必ずフォロー役として出席してもらいましょう。

ナビゲート役は、統括する管理職が行ないます。
参加する社員は、マネージャーは必須です。さらにサブマネージャークラスの社員を
もれなく出席してもらうことが必要です。

評価制度をつくる場合、外部から専門家、コンサルタントを入れて進めるのが一般的
です。

その場合、往々にして社長とのやりとりで評価シートをつくってしまうケースが多く
社員の納得感が薄いままスタートしてしまいます。行き詰まる典型的な進め方です。

社員の納得感が成功の鍵です。そのためには「主役は社員」という視点で準備してい
くことが大切です。

シンプルな構成にする

評価制度にかかる手間を軽くするコツはどこにあるのか。それは評価者が社員の点数
を決めて、査定する最後の工程です。この作業負担を軽くするのです。

何種類も、場合によっては何十種類もの書類を使わなければ最終評価ができない。こ
れが行き詰まりの原因になります。

1枚の書類には往々にして不明な点が出てきます。きちんとしようと思うと現場に確
認します。その手間は、書類の種類分だけどんどん増えます。作業負担は膨大な量に
なります。

シンプルな構成を追求しましょう。

具体的には、評価シートからでた評価ランクを、給与・ボーナス査定、昇給・昇格など
に簡単にリンクできるようにすることです。

こうすることで、社員にとって分かりやすく、考課者にとってやりこなせる制度になり
ます。

社員面談のやり方をしっかりと準備しておく

評価制度をうまく進めるには、「社員の意識を前向きにする」。ここが大切なポイント
です。

どうすれば良いのか?それは、「正当に評価されている」という実感を与えることです。

そのためには管理職が社員面談を定期的に行うことが必要です。
面談の回数が少なければ「私のやっていること何も分からないで、その話ピントずれて
るよ」となります。

面談の回数が多ければ「そう、分かってくれてる。何かアドバイスください」と前向き
になります。ごく単純な人の心理です。

しかし、回数が多ければすべて良し、とはいきません。内容が重要です。数字結果を指
摘するだけの面談は、相手のやる気を削ぐだけ、マイナスにしかなりません。

面談相手の今あるレベルがどこかを考え、自分の経験と照らして明日から何に力を注げ
ば良いかを助言する。ここに面談の価値があります。

このような面談の方向性を管理職に周知するだけでも面談の質は上がりますが、さらに、
専門家に指導してもらい面談相手のケース別シュミレーションを行っておくことがより
一層効果的です。

 

 

※人事考課というと、とかく査定や評価テクニックに目を奪われがちになります。
しかし、「被考課者が前向きに参加する」ここが底辺になければ制度は行き詰まります。
お伝えした3つのポイントを心掛けていただければ幸いです。

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