前回、社員の販売力を上げる取り組みとして、月間スケジュール表を使った行動予定
と成果目標についてお伝えしました。(未読の場合は、ここをクリックしてお読みく
ださい)
今回は、後編として月間スケジュール表を使った進捗管理のやり方について、ご説明
します。
営業・販売に関する進捗管理には、会議、個別ヒアリング、グラフ、チェックリスト
などいろいろなやり方あります。
どのやり方がベストというものはありません。内容も多種多様です。ただし、うまく
機能しているかどうかは、常に振り返ることが必要です。
その進捗管理にかける時間は意味があるか?何かが改善されたか?ここが社員のやる
気を左右します。
進捗管理は「自覚」と「気づき」の両面から行なう
進捗管理は、2つの方法で行ないました。
♦1つ目は、店舗巡回による小ミーティングです。
店舗の事務室には、社員それぞれの月間スケジュール表が壁に貼られています。巡回
の際は、10分もあれば一覧して全社員分を把握できます。まずは、目を通す。
これが、最初にやることです。
次に、各社員と個別に小ミーティングを行ないます。
月間スケジュール表をお互いに見ながら、行動と成果の状況を確認していきます。
その際、ポイントとなる問いかけがあります。
それは、「行動に見合った成果が、今の段階で出ていますか?」この言葉です。
この言葉は、相手を責めている訳ではないので、すんなりと受け入れられます。さらに、
行動と成果を関連させているので、両方を考えざる得ません。
狙いは、状況の確認と同時に、本人の自覚を促すことです。
日々のルーチンワークに追われ自分の立てた重点行動と成果目標に対して意識が薄れて
いるケースが多くあります。
「行動に見合った成果」を問いかけることで、相手は現時点の状況を振り返ります。そ
れが自覚につながります。
無理にアドバイスする必要はありません。自分で考える場面をつくってあげることが大
切なのです。自覚は自分で考えることとご理解ください。
私が接してきた管理職で一般的に犯しがちなミスは、「何かアドバイスをしなければ」
という焦りから、いろいろな要望を先に言ってしまうことです。
こうしたらどうか?、こんな方法もどう?と多弁になります。
しかし、そのほとんどは相手の行動改善にはつながりません。本人の自覚がないからで
す。
自覚がないと動かないのです。
♦2つ目は、月1回の全体会議です。
これは、月末に1日かけて行ないます。
場所は、本社の会議室。参加メンバーは統括管理職と各店舗のサブマネージャークラス
そして、会議のオブザーバーとして私も同席します。
この会議の目的は、他店舗での失敗や成功の話を聞いて、自分の取り組みに役立つ「気
づき」を持ち帰ってもらうことです。
気づきは、行動を変えることにつながります。
本に書かれた理論やノウハウからよりも身近な同僚の実例からの方が、スッと心に入り
行動しやすいのです。
たとえば、あるサブマネージャーから「ミーティングで改善策を話し合えない、皆黙り
込んでしまう」という話が出ると、実際に会議参加者がスタッフになり替わりミーティ
ングを再現していきます。
そうすると、
「表情が恐くて意見を出しにくい」「話がまわりくどくて、よく分からない」「そんな
遅い時間からミーティング?疲れて頭働かないよ」「資料があればいいな」「成功例を
もっと話した方がよい」など、指摘がその場で出てきます。
さらに、
同席のサブマネージャーから、うまくいった体験や効果がなかった体験が実例としてど
んどん出てきます。
そこから、チョイスして自分が取り組んでみたいことが、自分の意志で生まれてくる。
これが、「気づき」です。
自分の職場に持ち帰って、実行する。翌月の会議で結果を発表する。うまくいったなら
それは、ひとつのノウハウになります。いかなければ、改善策を話し合い、違う方法で
再トライです。
こうして、それぞれのサブマネージャーが、それぞれ抱えている問題解決への気づきを
持ち帰り実行する。それが月1回の全体会議です。
♦進捗管理にもコストパフォーマンスが求められる。
進捗管理は、結果につなげるための目的をはっきりさせることが大事です。
今回の例では、小ミーティング=「自覚を促す」、全体会議=「気づきを得る」とそれ
ぞれの目的を明確にしました。売上数字の追求は一切していません。
一見、遠回りと思えるこのやり方も1年後には、数字結果がついてきました。
逆に、1年続けても結果がでないやり方は、見直す必要があります。たとえば、数字結果
を追求するだけの営業会議です。
そこには、結果につなげる目的がありません。
費やす時間と人員は、効率的か?効果はどうか?今一度コストパフォーマンスのチェック
をしてみてはいかがでしょうか。
*関連記事